目的語説明文(知覚をあらわす動詞と共に)
目的語説明文は、知覚(見る・聞く・感じるなど)をあらわす動詞と大変親和性の高い形です。こうした動詞は、-ing形などのほか、動詞原形を説明語句としてとることが頻繁にあります。
- I saw many cross the street.
- Didn't you hear the phone ring?
知覚動詞が作るこの形は、場面に生に接していることを示す形です。①は「メアリーを見た」、何をするのかを見たのかという説明が cross the street(通りを渡る)。「メアリーが通りを渡るのを見た」となりますよね。
- We went to the beach and watched the sun go down.
- I listened to my favorite band talk about their new album.
- I felt the building shudder.
すべて同じ要領。すぐにでも作れますよね?さあ、音読、音読。
生の状況に触れる形
①が「生の状況に触れる形」であることを確認しておきましょう。②のレポート文とは、まるで違いますよ。
- I heard her play the piano.
- I heard that she plays the piano.
②は「私は聞きました」。何を聞いたかというと「彼女がピアノを(習慣的に)弾く」。つまり伝聞です。①は_もちろん_「彼女を聞いた」、何をするのを聞いたのかといえば「ピアノを弾く」のを。ほら、生でしょう?
原形動詞による説明と -ing形による説
説明語句として動詞の原形を使うのか、-ing形を使うのか。このチョイスはちょっと繊細。-ing形は原形と比べ、写真を見ているようなクオリティをもっています。まさにその瞬間の「~しているところ」をとらえた表現。動詞原形にはそうした躍動感はありません。ただ「パンチするのを見た」。
アメリカ在住の数年、「日常会話全く問題ありません」の人であっても、このレベルの使い分けはなかなかできません。できれば大変な実力。ぜひ目指してくださいね。
make, have, let と共に
make, have, let は、目的語説明文に頻繁に使われます。正しく使いこなすには、それぞれの動詞がもつ意味とニュアンスをつかんでおく必要があります。
- I'll do anything to make you happy.
- The story made me sad.
- When I was on homestay, I found it difficult to make myself understood in English.
make は「(力をギュッと加えて)作り出す」ということ。「力が加わる」というニュアンスに特徴がある動詞です。 ①は you に力を加えて「you = happy にするよ」と応分の努力が感じられる表現となっています。これまで同様、目的語を happy が説明していますね。②のキモチももうわかるでしょう。その物語が否応のない力で「me = sad」とするのです。③はすでに決まり文句ですね。がんばって「myself = understood(過去分詞:理解される)」とする、ということ。
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- Shall we have our new plasma TV on the wall?
- I had my uniform cleaned for the graduation ceremony.
- I had my iPod pinched from my school bag.
have は「もつ・もっている」。とはいっても「(手でグッと)もち上げる」という意味ではありません。所有する、ある状況をもつなど、体の動きが全く感じられない静的な意味にその特徴があります。have も目的語説明文とは非常に相性のいい動詞です。①は「plasma TV = on the wall」という状況を have しよう、つまり「壁際に置く」という意味。②は「my uniform =cleaned(過去分詞:キレイにされる)」という状況をもった。③は「my iPod = pinched(過去分詞:盗まれる = stolen)」という状況をもった、つまり「盗まれた」という意味となります。どれも日本語訳には have の意味が現れませんが、「そうした状況を have する」という意味で使われています。
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- Don't let me down.
let は「許す」という意味。allow(許す)ほど、かたい単語ではありません。とっても気軽な単語です。ある状況が起こるのを許す、手をこまねいている、そんな使い方をする動詞なんですよ。①は「私を許す」、私がどうなるのを許すのかといえば、「me = down」。ここから「ガッカリさせるな」となるわけです。
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- The PE teacher made the students run in the snow.
- I'll have the nurse bandage your leg for you.
- My daughter's upset because I won't let her get a tattoo.
どの例も「~させる」という訳に対応していますが、みなさんなら、同じ「させる」でも使われる丞お経が相当違うことがわかるはずです。①の make の「させる」は強制的な力を働かせています。力をぐっと加えて「無理矢理」という感触。②の have にはそうした力は感じられません。単にそうした状況をもちますよ、それだけのことです。③の let は「許す」でしたね。娘が get a tattoo するのを許さない(won't let)
この3つは「~させる」と偶然日本語の訳が一致しているだけのこと。しっかりとそれぞれの動詞のニュアンスをつかんで使い分けてくださいね。
■もう1つの「させる」
「~させる」とよく訳されるもう1つの形に、「get + 目的語 + to + 不定詞」があります。
- I got one of my classmates to help my sister with her homework.
get は「動き」をあらわす動詞。友人に頼んだり、小遣いやったりしながら to 以下の行為に向かわせる。それがこの形の意味合い。
「~させる」の差
同じ「させる」と訳されても、make, have, let, get (to) のニュアンスはまるで違う_納得していただきましたね。それでは簡単なチェックをしてみましょう。「僕の秘書にすずFAXを送らせるよ」_次のうち、最も適したものはどれでしょうか。
- I'll have my secretary fax it to you right away.
- I'll make my secretary fax it to you right away.
- I'll let my secretary fax it to you right away.
- I'll get my secretary fax it to you right away.
正解は① have 。②③はあきらかにおかしい。自分の秘書に無理やりとか許すとか、、、get が have よりピンとこないのは、秘書と「僕」との関係性。秘書に上司が何かさせるとき、頼み込んだり、小遣いをやったりしないでしょう。秘書は上司の指示に当然従うものなので①が正解!
ここは長くて大変でしたね。応用編ですがしっかり覚えていきましょう。
See you again.