命令文
命令文は、主語を用いない珍しい形です。主語のない述語を相手にぶつける意識の文です。
命令文の形・意識
- Concentrate!
- Be more confident!
「~しなさい」_それが命令文。動詞の原形で文を始めます。主語のない述部を相手にぶるける意識の文なのです。命令文は相手の心情にほとんど配慮が見られない。高圧力の表現。それだけに命令文は使われる状況を選びます。目上の者が目下に。あるいは子ども相手に_そうした状況がピッタリです。
ネイティブは家族間でも Pass me the soy souce なんてなかなか言いません。 Pass me the soy souce, please. など、やわらかい表現を選びます。それほど刺激の強い、注意すべき表現なのです。ただ、相手にとって好ましいことを「命令」するケースはその限りではありません。
- You haven't seen the YouTube video? Take a look at it, man. It's awesome.
- This apple pie is delicious. Try it!
命令文の強さが、逆に好意的なおすすめニュアンスをかもし出していますね。
ちなみに、命令文と同種の強烈な圧力をもたらす助動詞 must にも、同じ「おすすめ」の使い方がありますよ。
禁止の命令・勧誘
命令文にはいくつかのバリエーションがあります。
- Don't speak to me like that again, OK?
- Don't be nervous. You'll be fine.
「~するな」。禁止の命令をあらわすときには文頭に Don't ... をおきます。You mustn't ... と助動詞 must を使っても同じ強さの禁止をあらわすことができます。命令文と must 。非常によく似た圧力をもつ表現なんです。
- Let's order pizza tonaight.
- No, let's not order pizza tonight.
- Let's order pizza tonight, shall we?
「~しようよ」。相手を強く勧誘する表現が Let's ~ です。Shall we ~ ? も「~しましょうか?」という勧誘表現ですが、Let's ~ には相手を引っぱる強い勢いがあります。
Let's ~ のバリエーションもマスターしておきましょう。「~しないようにしようよ」_否定は Let's not ~ 。
また、Let's ~ と shall we ~ ? をコンビネーションで使うこともできますよ。「ピザ頼もうよ!」と強く誘った後「そうしない?」と相手の意向をソフトに尋ねる。よく使われる決まり文句です。
命令文周辺
命令文の周辺にある重要な言い回しを、いくつか学んでいきましょう。
■依頼をあらわす文
命令文は、相手に依頼・要求をぶつける「生」の形。極端に状況を選びます。英語に命令文以外の依頼パターンがいろいろあるのは、当然のことです。命令文だけでは「生」すぎて困るケースが多いから。さまざまな形がありますが、意識は1つだけ。「オブラートに包む」です。
- Please lend me 5 bucks?
- Will/Can you lend me 5 bucks?
- Would/Could you lend me 5 bucks?
- Would/Could you please lend me 5 bucks?
これらは決まり文句ではありますが、暗記するだけでは心が通いません。こうした文がなぜ丁寧な印象を与えるのか、その意識の動き方がわかりますか?
まず、これらの文が疑問文であることに注目しましょう。相手にお伺いを立て意向を打診するという態度がまず、命令文よりはるかに丁寧な態度なのです。
②ではさらに、助動詞 will/can が使われているおかげで「5ドル貸す意思(will)・能力(can)がありますか」と間接的な表現になっています。ここに「5ドル貸せ」という言いづらい内容をオブラートに包む意識が働いているのです。
さらに③と④では would/could と過去形にすることによって、「控えめ」効果が出てきます。2重、3重にもオブラートに包み、距離をとるキモチの働き、それが丁寧な表現を作り上げているのです。
ただし、②はそこまで丁寧ではありません。身内・友人同士の表現。赤の他人にモノを頼むときは最低でも③、できれば please を加えた④を使いましょう。
ついでに次の頻出表現も学んでおきましょう。
- Won't you lend me 5 bucks?
- Would you mind lending me 5 bucks?
①の won't you ...?は「お願いお願い。だめそうなのはわかってんだけど、そこをまげてお願い」という懇願のニュアンス。ちょっとしつこい感じがします。 not がついて「だめかもしれない」が表現されているからです。
②は mind(気にする)から相手の心情に配慮している様子が感じられる、かなり丁寧な印象ですよ。
■通常の命令文より強いインパクト
通常の命令文よりも、さらに強いインパクトを与える方法をいくつか手にいれておきましょう。
- You, keep out of this! It's none of your business.
- Do try and pay attention.
①では命令文に you が加わっています。相手を名指しすることによって、命令文の緊張感を上げるテクニック。②は助動詞 do の強意用法が命令文に応用されています。
さらに Don't よりも強い Never ...(決して...するな)で表現することもありますよ。
これで命令文は完了。
See you again.